みなさん、こんにちは!
このブログの投稿者のまるたくです!
健康の問題は、ぼくらが日常を送る上で
避けられないものですよね
しかし、特に人生の重要なイベントが迫ると
何故か体調が崩れることってありませんか?
お腹が痛くなったり
下痢気味になったりなどなど、、、
誰もが一度は経験したことが
あるのではないでしょうか?
正直ぼくは頻繁にあります笑
このようにぼくらは直感的に
メンタルの状態が腸のコンディションに
影響を与えることを知っているのかもしれません
そこで今回は
腸と心(脳)とのつながりを
解剖生理学的視点で
深く掘り下げて紹介したいと思います
それではどうぞ!
腸と脳は本当に繋がっているのか?
結論を言うと
これらの器官は直接的に
くっついているわけではありません
実際は身体内に存在する
複数のシステムや組織によって
関節的に脳と腸は連結しています
大きく分けると
自律神経系・神経内分泌系・神経免疫系といった
3つのシステムと複数のシステムに関与する組織が
脳と腸との関係を取りまとめています
もちろんこれらのシステムは
独立して機能しているわけではありません
そのため腸と脳の関係を理解するためには
どのシステムが中心になって
その役割を果たしているかを考えながら
整理していくといいと思います
自律神経系とのつながり
脳と腸を結ぶ
不可欠な組織の一つが「自律神経系」です
一般的に神経系は
脳や脊髄などの中枢神経系と
それ以外の末梢神経系に分類されます
自律神経系は
末梢神経系に分類されるものであり
ぼくらが無意識のままに
身体内部のバランスを調整する
神経系システム全般のことを指します
ちなみに自律神経系とは異なり
意識的に筋肉を動かしたり
話したりするときに働くシステムは
「体性神経系」と呼びます
そんな内部調整に寄与する自律神経系には
内臓情報を脳へ伝える感覚機能と
脳から内臓へ作用する運動機能を持っています
特に運動機能としては
交感神経系と副交感神経系という
システムが存在しています
自律神経系では有名な2つの機能です
交感神経系は主に
ストレスにさらされたり
緊張しているとき
いわば「興奮モード」になると
活発化します
一方で副交感神経系は
リラックスしたり
睡眠をとっている
いわば「休息モード」になると
活発化します
上の図を見て欲しいのですが
腸内の情報を脳へ送る時も
脳から腸内へ何らかの指令を出す時も
丸い点々がついた物質を介して
情報が送られています
これらは神経伝達物質といい
神経同士連絡する時の
バトンのような役割を果たしています
例をあげて考えていきましょう
何かを食べている場面を
想像して欲しいのですが
そのとき腸内には食物が
どんどん入ってきますよね
その時腸管が押し広げられるような
圧迫を受ける刺激を神経(迷走神経など)が感知します
この情報が脳(正確には視床下部や延髄)へ伝えられると
脳は副交感神経の働きを活発化させるべく
アセチルコリンという神経伝達物質を駆使して
(実際にはノルアドレナリンも関与しますが)
腸管に働きかけ
食物を消化・吸収を促すために
腸管の運動性を向上させます
このように腸の状態は
自律神経系のシステムの中で
情報を得て、脳からの指示を受け
調整されています
神経内分泌系とのつながり
神経内分泌系とは
ホルモンや神経ペプチドという物質を
生成することで
情報伝達や身体内部の調整を行う
システムを指します
ホルモンは内分泌腺という
特殊な細胞からつくられ
血液の流れに沿って移動します
そして特定の組織へ働きかけ
持続的に全身の状態の調整していきます
神経ペプチドも同様の目的を持ちますが
特に神経細胞内から生成・分泌され
神経系の情報伝達に貢献します
ホルモンと比較すると
瞬時に伝播され
局所的に作用します
腸と脳の機能においては
主に2つの機能(ホルモンなど)が関連していると言われています
ストレス反応に関わるホルモン
図を使用して紹介します
HPA系とはひとつの
システムとして関連する
組織の頭文字をとった名称なります
視床下部:Hypothalamus
外部からの刺激や情報を神経伝達物質を介して受け取り
ホルモンの放出を調節
主に腸の運動を調節し、腸管の収縮や拡張を制御する
[代表的なホルモン]
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
下垂体:Pituitary gland
視床下部からの指令に応じて様々なホルモンを放出
下垂体から産生されたホルモンは
血液を通じて全身に運ばれ
臓器や組織に影響を与える
[代表的なホルモン]
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
副腎:Adrenal gland
腎臓の上部に存在
血圧、血糖、水分・塩分量などの
体内調整に必要なホルモンを放出
副腎皮質と副腎髄質から異なるホルモンを分泌している
[代表的なホルモン]
コルチゾール
カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)
ストレスにさらされると
視床下部から始まる
ホルモン産生&放出リレーが
開始されます
最終的には副腎から
コルチゾールという
ホルモンが放出されて
戦いに備えるモードに身体を変化させます
その結果
・血糖値上昇
→エネルギー源であるグルコースの産生を促進
・心拍数の上昇+血圧の上昇
→コルチゾールが交感神経系を刺激
・腸管の粘液分泌促進
→外敵の侵入を防ぐ
・適切な炎症反応を誘発
→逆に過剰になると免疫活動を抑制
などなど
身体に必要な反応をもたらします
放出された後は
腸内の環境を血中のコルチゾールや
神経からの情報を介して
フィードバックされる仕組みに
なっています
食欲に関わるホルモン
グレリン
胃と小腸で産生されるホルモン
食欲を刺激する役割を持つ
分泌が増加するとお腹がへり、食事の摂取が促進される
レプチン
脂肪細胞から分泌されるホルモン
食欲と代謝を調整する役割を持つ
レプチンの血中濃度が高いと食欲が抑制され
エネルギー消費が増加する
これらは腸管内でも産生される
ホルモンです
まずグレリンが血中に
多く分泌されている時は
食欲を刺激し食事の摂取を促します
これによって
食事のタイミングや
飢餓感の調整を行っています
そしてレプチンが血中に
多く分泌されている時は
食欲を抑制し、代謝が活性化されます
これによって
体重やエネルギー利用の調整を
行っています
神経免疫系とのつながり
神経免疫系は
異物を侵入を防御したり
体内に侵入した外敵を排除することで
身体の恒常性を保つための
システムのことを指します
神経免疫系に関わる
キャストを紹介します
免疫細胞
異物が侵入した時に働く攻撃部隊
全身免疫の中心的な役割を果たす細胞
サイトカインを分泌し、免疫細胞間の情報を共有する
[主な免疫細胞]
好中球、マクロファージ、リンパ球(B細胞、NK細胞)など
腸粘膜組織
腸管内へ異物が侵入しないように働く防御・保護部隊
粘膜免疫の中心的な役割を果たす組織
[代表的な組織]
腸上皮細胞、パイエル板など
セロトニンとサイトカイン
腸管内の免疫に関わる情報を伝達する橋渡し役
免疫細胞同士の情報共有や
腸管内の情報を脳に伝える働きを持つ
セロトニンは腸管内でも生成される神経伝達物質
サイトカインは免疫細胞や
腸内細菌から生成されるタンパク質の分子
腸内細菌(叢)
腸管内に存在する微生物の集合体
腸内環境のバランス維持や食物の分解
栄養素の吸収、免疫系の調整の役割を担う
腸内細菌の構成や量によって腸に与える効果が異なる
一部の腸内細菌はセロトニン合成を補助する役割を持つ
腸管内の情報伝達に必要なサイトカインを生成する
これらの組織が相互的に作用して
腸管の中の状態を感知して
必要に応じて免疫反応を高めたり
逆に抑制することが可能になっています
この図の特に重要なことは
身体に異物が入ろうとした時に
入らないように防ぐのが腸粘膜の役割
入った後に除去するのが免疫細胞の役割
さまざまな情報を共有するために
必要なのがセロトニンやサイトカイン
そしてその情報伝達に必要な
物質生成に関わったり
直接腸粘膜組織や免疫細胞の活動を
調整するのが腸内細菌ということになります
これらの活動は脳に情報を送り
脳からの指令で免疫活動などを調整する
働きもありますが
腸が自律的に活動を調整する機能も
持ち合わせています
ここでも上記した免疫細胞や
サイトカイン・セロトニンは活躍します
それらをまとめて
腸神経系(ENS:enteric nervous system)
とも言います
腸と脳の繋がり:まとめ
以上のことから
腸と脳の繋がりを
上の図のように
まとめてみました
こうした腸と脳が
神経系やホルモンなどを介して
お互いに影響しあっていることを
「腸脳相関」または「腸脳軸」
英語ではGBA(gut-brain axis)といいます
腸が自律的に機能する要素もありますが
腸から伝わる情報によって
感情や認知面に影響を与えることがありますし
逆に脳から伝える情報
例えば緊張や不安などが
腸の運動性を変えたり
粘膜の保護機能を低下させることで
腹痛や下痢などの症状が出ることは
解剖生理学的にもありえるのです
身体は繋がっているといいますが
本当に面白いことですね
最後に今回の記事を
まとめていきたいと思います
腸と脳とつなぐシステムとして
自律神経系・神経内分泌系・神経免疫系が存在する
腸内と脳の情報の伝達には
ホルモン・神経伝達物質・サイトカインが関与する
腸のコンディションにより脳の活動に影響を与え
脳の活動が腸のコンディションに影響を与えうる
ぼくらは腸と脳のことを知ることで
もっと健康的に生活を送ることが
できるのではないかと思います
次回は腸と脳の関係のバランスが
崩れることで起こる健康問題について
紹介していきたいと思います
以上です!
最後までブログを見て頂き
ありがとうございました!
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参考文献
- Carabotti et al:The gut-brain axis: interactions between enteric microbiota, central and enteric nervous systems, Ann Gastroenterol, 28(2), 203–9,2015.
- Dantzer et al:Neuroimmune Interactions: From the Brain to the Immune System and Vice Versa, Physiol Rev, 98(1), 477–504, 2018.
- O’Reilly and Tom:Neuroimmune System as a Driving Force for Plasticity Following CNS Injury, Front Cell Neurosci,14,187,2020.
- Farzi et al:Gut Microbiota and the Neuroendocrine System,Neurotherapeutics,15,5–22,2018.